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2022年12月21日(水)~27日(火) 会場:丸善丸の内本店 4階ギャラリー サイ…
アドルフ・ヒトラーが若いころから熱狂的なリヒャルト・ワーグナーのファンだったことはよく知られている。筆者が紡ぎだすヒトラー像は、ワーグナーから徹底した影響を受け、ワーグナーの思想からイデオロギーを作り出し、ワーグナーのヴィジョンの成就とその実行を生涯の使命と見なしていた人物である。ヒトラーに対するワーグナーの影響は忘れ去られているか否認されるなどして、あまりにも過小評価されてきたが、ヒトラーの信念の中には、ワーグナーの信念が投影され、そして、そこにはユダヤ問題の「最終的解決」もあった。
ゲルマン崇拝と反ユダヤ神殿としてのバイロイト。ワーグナー・オペラとしてのナチス第三帝国。ヒトラーの発言と行動の背後には常にワーグナーがいた。ヒトラーがいかに深くワーグナーの理念、とりわけ「ユダヤ人のいない世界」を胸の内に刻み込んでいたか、そしてヒトラーの権力掌握にいたる上昇がワーグナーの相続人と友人達にどれほど多く背負っていたかを圧倒的な例証で明らかにする。ヒトラーは単にワーグナーを誤解し、悪用しただけなのか。預言者は救済され、そのヴィジョンの執行者だけが断罪される従来の「ヒトラーのワーグナー」論に対し、ワーグナーの音楽に心酔し、ワーグナーの思想からイデオロギーを作り出し、ワーグナーの神話的、黙示録的ヴィジョンの成就と実行を生涯の使命とみなした「弟子」ヒトラーの軌跡を、ワーグナーのオペラと散文著作をからめながら詳細に跡づける迫力満点の歴史的読み物。