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2022年12月21日(水)~27日(火) 会場:丸善丸の内本店 4階ギャラリー サイ…
教育を学校に独占させたこと、さらに、教育をすべて良いものとして尊重してしまったことの誤りを徹底的に問い直す。教育をよくするためでも、なくすだけでもなく、自分自身と他者とのコミュニケーション関係で見直すために。小中高の現場の教師と研究者による二年がかりの協動作業が実る。
監修者序文 (山本哲士)
第一編 教育論でも教育実践でもなく
――学校教育の現場から
「良い教育・悪い教育」の次元を超えて (琴寄政人+岡崎勝+山本哲士)
1 大人の問題設定と違う場で生徒は生きている
2 理念先導の教育実践は何も見ていない
3 子どもは学校との距離のとり方がつかめない
4 学校における学びの可能性はあるのか
5 ツッパリも優等生も不安をかかえている
6 登校拒否の子が学校に行くようになればいいのか
7 学校という集団性の意味がなくなりつつある
8 生徒一人一人との関係性に結論は出せない
9 学校=教育の廃止ではなく死滅へ
第二編 子ども・教室・学校の新しい現実
――小中高の教師から
本質性に依存しない自己形成 (琴寄政人)
1 「管理的」と呼ばれてきた教師の為に、というわけでもなく
2 生徒を理解することと、生徒に理解させることと、生徒が理解すること
3 二〇年目の「伝習館」に対して
4 自らの「正当性」を「本質」に依存する時
5 「その気になっている奴」の場合と「その気になっていない奴」の場合
教育における「変容」をめぐる冒険 (岡崎 勝)
l 教師の仕事と子どもの「変容」
「先生」と呼ばせること/「あのねぇ」から「質問があります」まで/「静かにしなさい」から「うるさい奴は外へ出ろ」まで/「ハイッ」と大きな声で返事をしましょうね/見えない暴力としての「席かえ」
2 教師の仕事と教師の「変容」
「教育技術の法則化」運動の教師たち/教師としていかに「手を抜くか」
学校機能の分化・分散 (佐々木賢)
1 生徒の授業態度
2 時期区分
3 各時期の関係
4 学校機能の分散
5 浮遊化の理由
第三編 「学び」と「教え」への力
――イリイチとアップルから
イリイチの『ABC』をめぐって ――文字文化・コード・口誦伝承 (滝本往人)
1 文字と歴史
2 記憶――プラトン、ギリシア神話と文字/ホメロスと「著者」/吟遊詩人
3 テクスト
4 翻訳と言語=国語
5 自己
6 虚構と物語
7 教えられた母語・ニュースピーク・ユニクァック
アップル『教育と権力』を読む (浅沼 茂)
1 潜在的カリキュラムと子供文化の主体性
2 学校文化の官僚化と商品化
3 オールタナティブの追求
権力の複雑性に直面して ――批判的教育研究における平行論的立場のために (マイケル・アップル/赤尾勝己・山本哲士訳)
1 経済を再び入れる
2 平行論的立場のために
3 「転移可能性」に関する両刃の剣
●ブック・ガイド/S・ボール編『フーコーと教育/ディシプリンと知』
第四編 教育という名の文化装置・権力装置
――教育・社会学から
教育評価の改革にむけての試論 (浅沼 茂)
1 教育評価についての教育者の間での神話
2 絶対評価VS相対評価あるいはただの社会的選別か
3 社会的枠組とアイデンティティ
4 評価と主観的意識の問題
教育における文化的・社会的再生産論の現在 ――脱組織資本主義における再生産様式の変容(赤尾勝己)
1 文化的・社会的再生産論のエッセンス
2 文化的・社会的再生産論への批判
3 再生産論の批判的再構成
4 再生産論から抵抗論へ
5 資本主義社会の質的転換と再生産様式の変容
再生産論から学校化論へ ――ブルデュー/パスロン『再生産』再考(森 重雄)
1 権力分析としての教育分析
2 教授行為――教育のミクロ分析
3 教授権限――教育のミドル分析
4 教授労働――マクロ分析への契機
5 教育システム――学校化の問題
むすびにかえて――再生産論から学校化論へ
回想の教育学的意味 ――ヴァルター・ベンヤミンにおける「経験」と「回想」(今井康雄)
1 経験の貧困と文化伝達の危機――ベンヤミンにおける「現代」
2 子どもをめぐる閉塞状況――ベンヤミンにおける「教育」
3 回想の教育学的意味―「ふたつの判じ絵」の一解釈
「回想」という教育学的態度――まとめにかえて
新しい視点からの現代教師論 ――産業社会での複相的な教育実践の構造(山本哲士)
1 教育実践の二重性
2 教育実践を規定している教育学化された世界
3 非決定の教育仕為の〈場〉
4 教育的コミュニケーションの三相
5 教師の身体ハビトゥス
広義の教育を考える
付録/参考文献年表